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【コラム】ガチンコでタクシードライバーを仕事としてやって、感じたメリットとデメリット

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こんにちは。著者のゆっくんです。

突然のコラムになりますが、この10月で4年間勤めてきたタクシードライバーとしての業務を一旦退く事に致しました。
先に言うとこの仕事に携われて本当に良かったと思いますし、感謝も心からしております。

そして、得た経験で次の仕事に辿り着けたことも感謝しております。

その経験の中でこれから「タクシーやってみたいな」とか「タクシー業界ってぶっちゃけどうなの?」と思っている方々に向けてこの記事を書いていきたいと思います。

ご参考になれば幸いです。


なぜタクシーを選んだか?

重度のワーカホリック

色々と書き始める前にまずなぜ僕が「タクシー業界を選んだか?」を書いて行きたいと思います。

タクシー業界に務める前、僕は会社員とアルバイトを掛け持ちしていて日曜日の夕方以外は全て仕事というスケジュールで動いている。

所謂「ワーカホリック」の状態でした。

その中でバンドや主催のイベントをこなし、さらにはサポート業務、責任者としての立ち振る舞いなど、今考えると人生のブラック期だと思えます。

タイムスケジュール的にはこうです。

月曜 9〜18時 会社 19〜25時 アルバイト

火曜 9〜20時 会社

水曜 9〜19時 会社 20〜24時 アルバイト

木曜 9〜19時 会社 20〜25時 アルバイト

金曜 9〜18時 会社 19〜翌朝6時 アルバイト

土曜 18〜翌朝6時 アルバイト

この間にバンド練習や自分主催のイベントを組んで活動していました。

ぶっちゃけこれだけ働いても手取りで30万と少し。

正直、体と心が壊れ切っていて周囲からの心配にも耳が傾かないほど仕事とお金に追われている日々でした。

完全歩合制の魅力を知る

世の中にはもっと大変で、もっと過酷に働いている人がいるんだから甘えちゃいけない!

と自分で思っていた時にバンド関係の先輩から「運転が好きならタクシーやってみれば?」という言葉を頂きました。

その時は「タクシーはリタイアしたおじさんがやるもの」と言う考えだったので全く響くことがありませんでした。が…

「僕はずっと…この周期で働いていくのか?」と思った時、完全歩合制のタクシーと言うものを真剣に考えてみる気になったのです。

なぜなら会社の業務については「誰がやっても同じ給料」「替えが効く」※歩合制との比較です。どの業務も大変な事は重々承知の上で書いております。

歩合制は自分が頑張った分は必ず返ってくる。

ならば今よりも稼げるならば「人生の経験として一回やってみるか!」と言う結論に至り、タクシー業界に身を投じることにいたしました。

究極の接客業であることを忘れずに

先に記載しておきますが、僕は接客業での経験がありタクシー業務でも「こんな感じで余裕でしょ!」と思っていました。

ですが、タクシーの業務での接客業は飲食店での接客とはレベルが全く違いました。

飲食店では「決まったメニュー」と「ある程度決まったパターン」があるのですが、タクシー業務は全てのお客さんが望むものが違い、正解が無限にあります。

例えば乗り込み地点から希望の降車地までのルート。

降車位置の希望地点。

これだけでもどれだけのパターンがあるか。

最短距離がいいのか、最速時間がいいのか、最安運賃が希望なのか?

タクシーの業務をしていると「最速=最安」にはならないケース(高速使用等)も多く、「最短=最速」にもならないケースも多々ありますし、乗ってきたお客さんの希望を以下に瞬時に見抜き、最適解を導き出すか。

飲食店とはまた違う難しさと「移動する個室」と言うプレッシャーとの戦い

正式な配属前に「タクシー業は究極の接客業」と教えられた意味を知ることができました。

もちろん、乗車中にお客さんから時事ネタなども振られるのでそれに対する「不快にさせない受け答え」などのスキルも必要です。

それらのスキルをフル活用しても苦情をもらう事もある。

そんな時は凹みもしますが…

それ以上に「乗客の人生のお役に立てた」と思える瞬間もありました。

1つだけ、僕が忘れられない仕事をこなせた時のことを書きたいと思います。

最後の別れに間に合わせた。

僕がタクシーを初めて半年頃のこと。

品川から乗り込んできたお客さんで、ものすごく気が動転されていました。

車内で電話をされていましたが、啜り泣く声と会話の内容。

希望降車は「東京近郊の県の病院」でした。

お客さんからは「できる限り急いで欲しい」と。

僕はお客さんの声のトーンや会話の内容から…

「おそらく親族に不幸があったのでは…?」

と考えて、会社で定められている速度を振り切った速度で運転し、現地へお客さんをお送りしました。

無事、事故もなく到着しお会計をした後、お客さんは飛ぶように病院へ駆け込んでいかれました。

仕事を終えて会社に戻るともちろん規則を破ったので始末書と報告書(笑)

後日、業務に行こうとした時に「ゆっくん宛に手紙が来ているよ」と。

先日お乗せした病院へ送ったお客さんからでした。

全文は書けませんが…

「急いで運転してくれたおかげで、父の最期に立ち会うことができ、会話をして見送ることができました。本当にありがとうございました」と。

この時の仕事と、この手紙が僕を今日まで持たせてくれたモチベーション。

その人の人生の大切なシーンに間に合わせることができ、役に立つことができた。

これは「タクシー」じゃないとできない仕事だったんじゃないかと思いますし、この時の仕事が僕に「タクシー運転手としてのプライド」を作ってくれました。

こうやって、乗ってくれた人の転換期に立ち会えることがある。

これがタクシーが「究極の接客業」と言われる意味ではないかと思います。

圧倒的自由と個人裁量

さて、ここからは僕の話ではなく実際の業務について。

タクシーの業務は根本的に「自由」です。

その日にいくら稼ごうか、だるいから休もうが本当に自由。

家が近い方は帰って自宅で寝ている方もいるくらいですw

そこで大切になってくるのは「自分が欲しいお金」です。

月50万欲しい人と、月に25万の人とでは仕事の量が違います。

当然稼ぐ方はそれだけお客さんを乗せているので、道も勉強でしますし接客の経験も得られるので圧倒的な強者になって行きます。

当然と言えば当然なのですが、ここが個人裁量の魅力。

先述通り「頑張った人は稼げる」のがタクシーで、ぶっちゃけた話。

楽をしては安定的には稼げませんので、そこは悪しからず。

絶対的に勉強の必要性

ここまで書いてきてタクシーを仕事にすると言うことの魅力だったりは伝わっているかな?と思いながら書いておりますが…

大前提として「勉強することは本当に大事」です。

お客さんは本当に様々な方がいて、解答は人それぞれ違い、何が最適解かもわかりません。

その中で唯一の回答に近づく方法は「知識と経験を増やすことだけ」

ここが面倒だな…と思うと辛くなっていくだけで成果も上がらないし、給料も上がりません。

日々、勉強したり先輩に話を聞いたりの小さな努力の積み重ねは大切です。

会社選びは東京4社から

では、実際に会社がたくさんある中でどこがいいのか?

と言う疑問があると思います。

僕が個人的にお勧めするのは「東京4社」と言われている会社。

『日本交通(行灯に桜のマークにNの文字)』
『大和自動車交通(行灯に大の文字)』
『帝都自動車交通(行灯に帝の文字)』
『国際自動車(行灯にkmの文字)』

この4社の他に有名な所ですと「東京無線」があります。

上記の4社では「4社限定のタクシーチケット」があり、かなりの頻度で使用されます。

故に、他社に属するよりも使用される回数も多く、専用乗り場も多いため仕事をすることが可能になります。

(正直、かなり僕は助けられましたw)

他にもいろんな理由で選ぶことができますが、何よりいいのは「通う会社が近くにあればよし」と思います。

実際にタクシーの仕事はかなり体力勝負なので、通う距離や時間が長いとそれだけで疲弊してしまいます。

タクシー会社はたくさんありますのでその中からご自身にあった最適な会社をお選びください。

最後に

書きたいことや伝えたいことはたくさんあるのですが、ひとまずはここまで。

タクシーを仕事にして本当に良かったと思いますし、素敵な出会いもあり、生活も楽になり、様々な物を手にすることができました。

「じゃあ辞めなくていいじゃん」と思われると思いますが、僕の中で「もっとやりたいこと」があったための退職なので嫌気がさしたとか、仕事が嫌いになったとかのマイナス要因ではありません。

シフトも融通を利かせてくれる会社さんもあるので、それこそバンドマンの方は挑戦してみてもいいと思います。(生活費と機材費は余裕で賄える給料です)

大変なことばかりだったし、嫌な思いもしましたが、心から「タクシー業務をやってよかった」と言えます。

この記事を読んでどなたかのお役に立てれば幸いです。

お読みいただきありがとうございました。

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